ネット物販歴25年超えの専門家 加藤さとしです。
ビジネスで利益を出したら、
税金を納めるため毎年2月〜3月に
確定申告をしなければいけません。
この確定申告で必要となるのが
日々の会計・記帳です。
会計・記帳がしっかりできていれば、
確定申告がすぐ終わるだけでなく
「いま、どれくらい利益が出ているのか」
を把握でき、適切な節税もすることができます。
ただし、中国輸入ビジネスは
一般的な国内転売より工数が増える分、
会計方法も複雑になります。
万が一、誤った会計を行っていると
場合によっては追徴課税などの
ペナルティを受ける恐れもあるので
最初に正しい会計方法を
確認しておくことは重要です。
この記事では、中国輸入ビジネスでよくある
会計・記帳方法について解説します。
加藤さとし
中国輸入転売の会計・記帳方法は2パターン
中国輸入転売の会計・記帳は、
- 自分で会計ソフトを使って行う
- 税理士等に依頼する
このどちらかになります。
自分で会計ソフトを使って処理する
ビジネスを始めたばかりで
売上や取引規模が大きくない人は
自分で会計処理を行います。
自分で会計処理をする場合は、
簿記の知識の有無に関わらず
会計ソフトの導入が必須です。
会計ソフトは、日々の収入と支出を
入力していくことで確定申告時に必要な
書類が自動的に出来上がるようになっています。
簿記の知識がある人も、会計ソフトなしに
すべての会計処理を行うのは非常に大変なので、
必ず導入するようにしましょう。
会計ソフトには、
- インストールタイプの会計ソフト
- クラウド会計ソフト
この2つがありますが、
最近はクラウド会計ソフトが主流です。
クラウド会計ソフトとは、パソコンに
ソフトをインストールするのではなく、
ネットで専用サイトにアクセス、
ログインして使うものです。
クラウド会計ソフトは、
- 自動的にバージョンアップされるので
常に最新のソフトを利用できる - 消費税増税や法改正にも対応
- 専用サーバーにバックアップされるので
パソコンが壊れてもデータは消滅しない - 銀行口座やクレジットカードと連携すれば
明細を自動で紐付けることができる
こういったメリットがあります。
利用料が毎月かかりますが、
必須の機能が揃っているので
自分で会計をする人は導入必須です。
人気のクラウド会計ソフト
MFクラウド | やよい | freee(フリー) | |
最安料金 | 月額800円 (8,800円/年) | 8,000円/年 | 月額980円 (9,800円/年) |
対応OS | Windows・Mac | ||
特徴 | サポート有 30日間は無料 | 初年度無料 白色申告は無料 サポートなし | サポート有 |
なお、会計ソフトは確定申告初心者の人でも
スムーズに申告できるようになっていますが、
輸入ビジネスの会計はやや複雑なため
簿記の知識がない人は手こずると思います。
そのような場合は、
- 市町村の無料税務相談
- 会計ソフトのサポート
こういった制度を利用したり、
税務署に聞きに行くようにしましょう。
税理士に依頼する
売上規模が大きくなってきたら
税理士に依頼することをおすすめします。
餅は餅屋と言うように、
税務関係は税理士に任せたほうが
圧倒的に早く、正確です。
そして、あなたは余った時間で
商品リサーチなどをしたほうが
さらに利益を上げられるでしょう。
税理士の顧問料ですが、
年商1,000万円くらいまでは、
月1〜3万円(記帳もお願いすると+1〜3万円)
くらいを想定しておいてください。
具体的な顧問料は、
- 個人か法人か
- 会社の売上
- 税理士の訪問頻度
- 記帳の依頼の有無
- 仕訳数
などで変わってきます。
税理士に記帳までお願いをすると、
最低でも年間30万円程度はかかるので
ある程度売上が上がってきたら
依頼をするようにしましょう。
中国輸入転売の会計・記帳時に使う”勘定科目”を確認!
会計・記帳時につまずくポイントの一つは、
どの勘定科目を使えば良いのかわからない・・・
という点です。
中国輸入ビジネスでよく使う
勘定科目を以下にまとめたので
確認しておいてください。
*勘定科目の表記は、会計ソフトによって
微妙に異なる可能性があります
中国輸入転売に直接関係する勘定科目一覧
取引概要 | 勘定科目 |
Amazonなどの売上金 | 売上高 |
仕入れにかかった費用、関税 | 仕入高 |
商品の購入代金を現金で支払った、また売上を現金で受け取った | 現金 |
商品・サービスを販売目的で注文し、まだ代金を支払っていない場合 | 買掛金 |
銀行口座から商品代金の振り込みをした、銀行口座に売上が振り込まれた場合 | 普通預金 |
販売目的以外で商品購入・サービスを利用して、支払いが確定していない場合 | 未払金 |
売上は発生しているが、未入金の場合 | 売掛金 |
Amazonの販売手数料など | 支払手数料 |
Amazonスポンサープロダクト費用など | 広告宣伝費 |
商品輸入時に発生する消費税 | 仮払消費税等(税抜経理の場合) 仕入高(税込経理の場合) |
その他の勘定科目
取引概要 | 勘定科目 |
カフェで作業をしたときにかかる飲み物代、コピー代等の少額な費用 | 雑費 |
商品画像の作成や検品などを外部に依頼する場合にかかる費用 | 外注費 |
インターネット代や仕事用のスマートフォンで発生する通信費用 | 通信費 |
業務に必要な本、雑誌を購入した費用 | 新聞図書費 |
セミナーや仕入れなどで使った公共交通機関の代金やタクシー代、ホテル代 | 旅費交通費 |
取引先との会食、取引先へのお土産代 | 接待交際費 |
コピー用紙やインクなどの事務用品、パソコン周辺機器など10万円未満のもの | 消耗品費 |
商品の発送代金、発送時に必要なダンボールやテープの梱包資材代 | 荷造運賃 |
アルバイトやパート、正社員に支払う給料 | 給料手当 |
事務所の家賃・更新料 (自宅兼事務所の場合は作業スペースに応じて按分) | 地代家賃 |
事務所で使う電気代 | 水道光熱費 |
社用車を購入した費用 | 車両費 |
事務所や社用車の修理費用 | 修繕費 |
社用車の自動車保険代、経営セーフティ共済代など | 保険料 |
自動車税、固定資産税、印紙税、法人事業税 | 租税公課 |
中国輸入転売の仕訳方法を解説!
この章では、中国輸入ビジネスの
仕訳方法について解説していきます。
仕訳の基礎
仕訳とは、日々の取引を帳簿に記録していく作業です。
仕訳には、
- 複式簿記
- 単式簿記
という2種類の記帳方法があります。
このうち青色申告の場合、
65万円の所得控除を受けるには
複式簿記で仕訳をする必要があります。
仕訳の書き方を見てみましょう。
たとえば、10万円の商品を
5/10に現金で仕入れた場合、
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
5/10 | 仕入高 | 100,000 | 現金 | 100,000 | A商品の仕入れ代金 |
このように記載します。
青色申告で確定申告をする人は、
すべての取引を上記のように
1件1件記入していく必要があります。
ただし、会計ソフトを使えば、
該当する勘定科目と収入・支出を入力するだけで
自動的に上記のような仕訳をしてくれます。
やよいの青色申告の例
こちらは会計ソフト
「やよいの青色申告」を
使った記入例です。
上記のように入力をすると・・・
このように自動で仕訳がされます。
では次からは、中国輸入転売で
商品を仕入れてから販売するまでの
仕訳方法について見ていきます。
中国輸入転売における仕訳タイミング
- STEP1:商品注文時
- STEP2:商品の代金支払い時
- STEP3:商品到着後、代行手数料や税金を支払う時
- STEP4:商品が売れた時
- STEP5:売上金が口座に振り込まれた時
STEP1:商品注文時に行う仕訳
まずは、中国輸入の代行業者を通して
商品を注文した時点で会計処理をします。
(例)30万円分のX商品を5/11に注文
仕訳方法は以下のとおりです。
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
5/11 | 仕入高 | 300,000 | 買掛金 | 300,000 | X商品の仕入れ代金 |
このときポイントになるのが”買掛金”です。
買掛金は、モノ・サービスを販売目的で注文し、
まだ支払いが済んでいないときに使う勘定科目です。
代行業者に商品を注文した時点では
支払いが済んでいないため、
”買掛金”を一時的に使います。
STEP2:商品の代金支払い時に行う仕訳
次に、注文した商品の代金を
支払う時点で会計処理をします。
(例)X商品の代金(30万円)を
5/12に銀行振込で支払った場合
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
5/12 | 買掛金 | 300,000 | 普通預金 | 300,000 | X商品の仕入れ代金支払 |
注文時に”買掛金”として
一時的に処理していたものを消し、
普通預金の残高が減るように処理します。
STEP3:商品到着後、代行手数料・関税・消費税を支払う時
商品到着後、請求書やインボイス等を見ながら、
- 代行会社への支払手数料
- 関税
- 輸入消費税
を支払います。
そのときの仕訳は以下のとおりです。
(例)5/20に商品到着、以下の費用を
普通預金から支払った
- 代行手数料:3万円
- 関税:2万円
- 輸入消費税(国税):2.3万円
- 輸入消費税(地方税):7,000円
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
5/20 | 支払手数料 | 30,000 | 普通預金 | 90,000 | 代行手数料 |
仕入高 | 20,000 | 関税 | |||
仮払消費税等 | 23,000 | 輸入消費税(国税) | |||
仮払消費税等 | 7,000 | 輸入消費税(地方税) |
*輸入消費税の勘定科目
税抜経理の場合→「仮払消費税等」
税込経理の場合→「仕入高」
消費税は国税と地方税に分けられるので、
それぞれ別々に仕訳をする必要があります。
STEP4:商品が売れた時に行う仕訳
商品が売れた場合の仕訳は以下のとおりです。
(例)5/25、Amazonで5,000円のX商品を販売
Amazon販売手数料500円、FBA配送代行手数料419円
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
5/25 | 売掛金 | 4,081 | 売上 | 5,000 | X商品の売上代金 |
支払手数料 | 500 | Amazon販売手数料 | |||
荷造運賃 | 419 | FBA配送代行手数料 |
Amazonでは、商品が売れた時と
売上金が入金される時のタイミングにずれがあるので、
一時的に”売掛金”で処理するのがポイントです。
なお、Amazonでは販売手数料がかかるほか、
FBA納品をした場合は配送代行手数料もかかるので、
その分を差し引いた金額を売掛金として
処理する必要があります。
STEP5:売上金が口座に振り込まれたときに行う仕訳
最後に、売上金が口座に振り込まれたら
再度仕訳を行います。
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
5/25 | 普通預金 | 4,081 | 売掛金 | 4,081 | X商品の売上代金 |
これで仕入れ〜売上入金までの
仕訳が完了となります。
まとめ
今回は中国輸入転売における
会計・記帳方法について解説しました。
海外から商品を仕入れる場合は
国内仕入れと違い、
通常の仕入れ費用に加えて
- 代行業者に支払う手数料
- 関税
- 輸入消費税
といった費用がプラスでかかるため、
その分会計処理も面倒になります。
確定申告時にまとめてやろうとすると
あまりの量の多さに圧倒されてしまうので、
定期的に時間を見つけて記帳する、
または売上・経費の整理だけでも
しておきましょう。
また、freeeやMFクラウドの
銀行口座やクレジットカードと連携する機能を使えば、
記帳時間を大幅に短縮できるのでお勧めです。