ネット物販歴20年超えの専門家 加藤さとしです。
今回はAmazonのFBAを使う上で
絶対に知っておいてほしい2つの制限
納品ミスによるFBA納品制限
FBA在庫保管の制限
を解説し、その解除方法までお伝えします。
特に、FBA在庫保管制限に関しては
2020年4月より新ルールが適用されており、
人によっては新規納品ができなくなる、
高額な手数料が発生するなどの可能性があります。
いずれの制限も、Amazon販売をする上で
大きな機会損失になりうるものです。
解除方法まで含め、記事の最後まで
しっかりご確認ください。
加藤さとし
FBA納品ミスによる納品制限とは?
繰り返しの納品不備で一定期間、納品不可に
AmazonはFBA納品について
細かいルールを設けています。
FBA利用者は、このルールに従い
納品をしなければいけません。
しかし、納品は手作業であるがゆえ、
どうしてもミスをしてしまう時があります。
FBA利用時に納品不備が発生すると、
Amazonから「重要」と記載された
納品不備に関するメールが届きます。
納品不備の内容にもよりますが、
この時点ではまだ”注意段階”のため
不備があった箇所を訂正したり
Amazonに訂正作業依頼を出したりする
(別途費用が発生します)
ことで解決する場合が多いです。
しかし、繰り返し納品不備を起こすと
納品制限がかかってしまいます。
納品制限がかかると、その間は
FBA納品ができなくなる
=在庫補充ができない=販売機会の損失
となるため、極力避けなければいけません。
納品不備の代表例
Amazonは、よくある納品不備の例として
以下のようなものを挙げています。
- 納品設定と異なる商品数を納品
- 商品ラベル・配送ラベルが読み込めない
- カッター・ハサミ・刃物など危険物の混入
- 商品や輸送箱が正しく梱包されていない
上記4つは特に頻繁に見られるミスなので、
自分で納品するにしても海外の代行業者に
検品・直接輸送してもらうにしても十分
注意しなければいけません。
新型コロナの影響で納品重量15kgの制限も新たに追加
新型コロナウイルスの影響により
2020年4月からは納品重量が
最大15kgまでに制限されています。
この制限は、コロナが落ち着くまでは
しばらく解除されないでしょう。
1箱15kg以上のものを納品すると返送処理がされ、
お金も時間も無駄になってしまうので、
納品時は必ず重量チェックをしましょう。
(最近の話)FBA納品数が200個に制限・・・
さらに最近、新規商品の納品数が
原則、200個までに制限されているといった
事例が増えています。
※セラーセントラルにログインしてご覧ください。
最小ロット数が500個や1,000個という商品もあり、
『生産したのに納品ができずに困った。。。』
というセラーさんが続出しています。
Amazonのアナウンスによるとこの措置は
「2020年のピークに備えるための変更点」ということで
一時的なものとなっているのですが、
いつ終了になるかはわかりません。
この制限に対する対処法としては
代行業者の日本倉庫に保管し、こまめに納品をしていく
というのが最も良い方法でしょう。
あまり知らない方も多いと思いますが、
中国だけでなく、日本にも倉庫を持っている
代行業者もあります。
その日本倉庫に一時保管をしてもらい
そこからこまめにFBAに納品していきます。
中国の倉庫からこまめに納品するのでは
品切れを起こしてしまう可能性が高いです。
もちろん、その分、手数料がかかりますので
その点は覚えておいてください。
なお、この保管制限は新規商品やセラーだけでなく
全ての商品・セラーにも適用されています。
ご自身の商品がどのくらい納品可能かを確認するには、
発注推奨に移動し、在庫日数の列を確認します。
https://sellercentral-japan.amazon.com/restockinventory/recommendations
カラーバーの上の商品をクリックすると、
最大納品数量を含むポップアップウィンドウが開きます。
この納品数量個数は売り上げが増えれば
納品可能数も増えていきます。
売り上げを増やすことが最も効果的な
対処法ということになります。
加藤さとし
納品制限を解除する方法
納品不備の繰り返しで、納品制限がかかってしまったら、
Amazonから届いたメールのアドレス宛に
- 納品不備を再度起こさないための改善方法
- 改善時期
この2点を明記して返信しましょう。
Amazonは「納品チェックシート」を用意しているので、
- 改善方法:納品チェックシートにチェックをしながら納品する
- 改善時期:次回納品時から毎回実施
といった内容のメールを送れば、最短翌日には
納品制限を解除してもらえる可能性があります。
ただし、あまりにも納品不備を繰り返していたり
重大な不備を起こしたりするとアカウント停止などの
厳しいペナルティを課せられる場合もあることは
忘れないでください。
FBAの在庫保管制限とは?
Amazonは、FBA納品できる
在庫数に上限を定めています。
FBA倉庫は非常に巨大ですが、それでも
保管できるスペースは限られています。
在庫上限を定めなければ、不良在庫(売れない在庫)で
倉庫がいっぱいになり、Amazonの収益率も下がってしまいます。
これを防ぐために、AmazonはFBA利用者に対して
納品可能な数量をあらかじめ設定しているのです。
FBA在庫の納品上限
出品アカウント作成時のFBA在庫の納品上限は、
標準サイズで5,000個、大型サイズで500個です。
(※時期や販売実績等によって変動する場合があります)
基本的にこの上限を超える納品はできず、
在庫制限を超えて納品すると超過分は
受取拒否される可能性があります。
人によっては十分すぎると感じるかもしれませんが、
小さくて軽い商品を扱っていたり、中国輸入ビジネスのように
高回転で利益を伸ばしていく場合は売上の増加とともに
上限に近づいてしまう恐れがあります。
FBA在庫の納品上限を解除する方法
大口出品アカウントに限り、
FBA在庫の上限を解除することは可能です。
ただし、自分で申請等をするのではなく、
Amazonが提示する条件をクリアすることで
自動的に上限引き上げを行ってくれます。
その条件とは、
スコアチェック対象時の
在庫パフォーマンス指標が500以上であること
です。
Amazonは四半期(3カ月)ごとに
出品者のパフォーマンス状況を
チェック(スコアチェック)しています。
スコアチェックの日程は、Amazon公式HPにある
「FBA在庫制限」の「在庫保管制限のスケジュール」に
記載されています。
スコアチェック時に上記の条件を
クリアしていれば、次のスコアチェックまでは
在庫保管制限がいったん解除されます。
では、
在庫パフォーマンス指標とは
どういうものなのか?
どうしたら基準値をクリアできるのか?
この2点を次から解説していきます。
在庫パフォーマンス指標とは?
在庫パフォーマンス指標とは、
FBA在庫の管理状況を数値で表したものです。
FBA在庫の管理状況とは、たとえば、
- 売れ筋商品を在庫ありの状態に保てているか?
- 健全な在庫レベルを維持しているか?
- 出品情報のエラーを適切に修正しているか?
といったものです。
在庫パフォーマンス指標は、
このようなデータをもとに
合計1,000点満点で算出されます。
2020年9月1日からは、この数値が500点以上だと
FBA在庫保管制限が解除されます。
(500点以上全員が解除される訳ではないようです…)
現在の在庫パフォーマンス指標の数値を
チェックする方法ですが、
①セラーセントラルへログイン
②上部タブの「在庫」→「在庫健全化ツール」をクリック
すると、在庫ダッシュボードが開き、
現在のスコアが表示されます。
「パフォーマンス」をクリックすると、
さらに細かいデータの数値を確認できます。
在庫パフォーマンス指標のスコアは、
- 余剰在庫の割合
- FBA販売率
- 有効な出品情報がないFBA在庫の割合
- FBA在庫ありの割合
この4つの指標の数値をもとに算出されます。
緑色は正常値、赤色は異常値で
改善すべき項目です。
それぞれの指標の意味と
具体的な改善方法を紹介します。
(1)余剰在庫の割合を減らす
Amazonでは、商品の保管日数が90日以上のものを
「余剰在庫」とみなしています。
余剰在庫の割合が高ければ高いほど
売れていない商品の在庫が過剰に
なっていることを意味します。
余剰在庫があるほど「在庫パフォーマンス指標」の
数値が下がるので注意が必要です。
それだけでなく、長期在庫保管手数料も発生するので、
この割合はなるべく0に近づけるのが理想です。
Amazonが掲示する基準は、
- 0%→非常に良い
- 0-10%→良い
- 10-30%→普通
- 30%以上→悪い
となっています。
余剰在庫の割合を減らす方法としては、
以下のような施策が考えられます。
値下げやクーポン発行などをして売り切ってしまう
商品を返送・廃棄する
加藤さとし
余剰在庫になっている商品については、
「余剰在庫の割合」の右側にある
「余剰在庫を減らす」より確認できます。
(2)FBA販売率を上げる
FBA販売率とは、過去90日間で販売・発送した
すべての商品点数を同じ期間にFBAで出荷可能だった
商品の平均点数で割ったものです。
たとえば、過去90日間の出荷数が500点で
平均FBA在庫数が100点だった場合は、
500÷100=5.0となります。
Amazonが掲示する基準は、
- 7以上→非常に良い
- 3-7→良い
- 1-2→普通
- 1以下→悪い
となっています。
FBA販売率が高ければ、販売数と在庫数の
バランスがちょうど良いことを意味するので、
この数値はなるべく上げていく必要があります。
FBA販売率を上げるには、
売上を増やす、在庫数を減らす
のどちらかです。
売上を増やすには、
値下げの実施やセール価格の作成
商品ページの改善、検索キーワードの変更
スポンサープロダクト広告の活用
在庫数を減らすには
返品もしくは廃棄
を行います。
「FBA販売率」の右側にある
「FBA販売率を改善する」をクリックすると、
ASINごとに在庫数と販売数が表示されるので
適切なアクションを取りましょう。
(3)有効な出品情報がないFBA在庫の割合を減らす
有効な出品情報がないFBA在庫の割合とは、
FBA倉庫にある在庫のうち、Amazonで
販売できない状態にあるFBA在庫数の割合です。
売れない=販売機会の損失ですし、
FBA倉庫に置いている間は
長期保管手数料もかかってしまいます。
このような商品があったら、
再出品
新規の出品を作成
在庫の返品・廃棄
といった施策が必要です。
「有効な出品情報がないFBA在庫の割合」の
右側にある「出品情報を修正する」をクリックすると
該当商品が表示されます。
(4)FBA在庫ありの割合を高める
FBA在庫ありの割合とは、
過去60日間に売れた商品(人気商品)の
在庫が確保されていたかを示す指標です。
売れている商品にも関わらず
在庫数が少なかったり品切れになっていたりすると、
この数値は低くなってしまいます。
こちらも販売機会の損失につながるので、
適正な在庫をキープする必要があります。
「FBA在庫ありの割合」の右側にある
「今すぐ補充する」をクリックすると
発注推奨のページに移ります。
在庫切れになっている商品や
在庫が少ない商品を適宜
補充していきましょう。
注意!FBA在庫保管制限が再度かかると、FBA在庫保管超過手数料が発生
在庫パフォーマンス指標500以上をクリアし
一度在庫保管制限が解除されたとしても、
次のスコアチェック時に基準を満たしていなければ
再度制限がかかってしまいます。
再度制限がかかれば、
新規納品できなくなるだけでなく、
超過している分の在庫に対しては
「FBA在庫保管超過手数料」も発生してしまいます。
FBA在庫保管超過手数料は、
超過在庫量1立方メートルあたりにつき
なんと毎月31,727円もかかります・・・。
※1立方メートル=縦1m×横1m×奥行き1mの立方体の体積
なお、具体的な計算方法としては、
月ごとの1日平均の在庫超過量×31,727円
となります。
(例1)2020年9月1日〜9月30日の1カ月間で
毎日、在庫超過量が2立方メートルだった場合
(2立方メートル×30日)÷30日=2(月ごとの1日平均の在庫超過量)
2×31,727円=63,454円
(例2)2020年9月1日〜9月30日の1カ月間で
- 9月1日〜9月10日までは在庫超過量が2立方メートル
- 9月11日〜9月20日までは在庫超過量が1立方メートル
- 9月20日以降は廃棄により在庫超過なし
だった場合
(2立方メートル×10日+1立方メートル×10日)÷30日=1.67(月ごとの1日平均の在庫超過量)
1.67×31,727円=52,984円
超過在庫量が多いほど、保管日数にあわせて
高額な手数料がかかってしまうので、
場合によっては返品処理や廃棄などの
手続きも行わなければいけません。
まとめ
今回は、FBAの納品制限と在庫保管制限
について詳しく解説しました。
納品制限にひっかからないためには、
なるべく納品不備を起こさないように
普段から注意を払うことが重要です。
在庫保管制限に関しては、
昨今の新型コロナウイルスの影響等で
FBA倉庫がひっ迫しているため、
Amazonは在庫に対して
よりシビアになっています。
ですので、わたしたちセラーは、
これまで以上に在庫管理をしっかり行い、
- 売れ筋商品は在庫切れを起こさないように
適正量を補充する
- 売れていない回転の悪い商品は
在庫数を極力減らす
- 今後は回転の良い商品に絞って
仕入れ・販売をしていく
といったことが必要です。