中国輸入Amazon販売の専門家 加藤さとしです。
今回紹介する”資金繰り”とは、
日々の支出と収入を管理し、
過不足が発生しないようにすることです。
ビジネスを成功させる上では
超重要な要素の一つになります。
言葉自体はよく聞くと思うので
「そんなことは知ってるよ!」
という人も多いでしょう。
しかし、その意味や重要性を頭では理解していても、
いざ自分がビジネスを始めると、おざなりになってしまい、
資金繰りが悪化したことで事業が潰れてしまう
ケースも少なくありません。
特に、これから中国輸入物販を始める方で、
数字にあまり強くない、お金の管理がズボラな方は
注意してください。
会社では経理担当の人が、
日々のお金の流れや財務状況を
チェックしてくれます。
一方、個人でビジネスを始める場合は、
そうした資金繰りもすべて
自分でやらなければいけません。
なんとなくで資金繰りをしていると、
ビジネスを続けていても一向にお金が増えないばかりか、
いつの間にか資金が底をついて撤退を余儀なくされます。
あなたにはそんな失敗はしてほしくないので、
ぜひ当記事の内容を最後まで読んで、
資金繰りのために日々すべきこと、
対策等を頭に入れておいてください。
中国輸入物販において資金繰りが悪化する原因、日々やるべき対策
資金繰りがうまくいかないと、倒産リスクが高まる
資金繰りがうまくいかなくなると
仕入れ費用の返済に回すお金がなくなったり
新たに仕入れるための資金が底を付いたりして、
事業の継続が困難になります。
特に中国輸入物販は
国内完結型の物販ビジネスよりも
様々な面で複雑性が増すので、
一層気を使う必要があります。
資金繰りが悪化してしまう原因はいくつかあるので、
日々できる対策と併せて一つずつ見ていきましょう。
資金繰りが悪化する原因①リサーチ時点で利益計算がしっかりできてない
中国輸入物販で資金繰りが悪化する1つ目の原因は、
リサーチ時点での利益計算ミスです。
利益が出ると思って仕入れた商品が、
実は売れば売るほど赤字になるものだった。
このケースでは当たり前ですが、
手元に残る資金はどんどん減っていき、
資金繰りは悪化してしまいます。
中国輸入物販は、国内仕入れ・国内販売と比べて
様々な費用がかかるので、テキトーに
利益計算をしているとこの現象に陥る恐れがあります。
対策:適切な利益計算をする
対策としては、適切な利益計算をする。
どんぶり勘定をしないことです。
利益=売上-費用
中国輸入物販では、費用の中に
仕入れ価格だけでなく国際送料や関税、
手数料等、色々含まれている点にご注意ください。
中国で商品を仕入れて輸入する場合にかかる費用
- 仕入れ代金
- 中国国内送料
- 代行業者に支払う手数料
- 中国から日本への国際送料
- 関税
- 中国輸出通関手数料・税関手数料
- 消費税
AmazonFBAを利用して売る場合にかかる費用
- Amazon販売手数料
- カテゴリー成約料
- Amazon FBA手数料
中国から輸入した商品を
日本Amazonで販売する場合は、
最低でも上記の費用が発生します。
具体的な費用は商品によっても異なるので、
商品リサーチ時点で正確に計算し、
本当に利益が出るのかをしっかり確認しましょう。
資金繰りが悪化する原因②利益率だけを見て、回転の悪い商品を仕入れている
資金繰りが悪化する2つ目の原因は、
利益率だけを見て回転が悪い商品を
仕入れてしまうことです。
利益率が高くても月間販売数が
極端に少ない商品だと
資金繰りは悪化してしまいます。
対策:商品リサーチの際は、利益率・回転率の両方をチェックする
対策としては、商品リサーチの際に
利益率だけでなく回転率も
必ずチェックすることです。
たとえば、次のAとBという商品があるとします。
(いずれも仕入れ値は1,000円)
それぞれ100個仕入れると仮定しましょう。
- A:利益率60%、月間販売数10個(1ヶ月の利益額=600円×10=6,000円)
- B;利益率40%、月間販売数30個(1ヶ月の利益額=400円×30=12,000円)
販売開始から | A商品のトータル利益額 | B商品のトータル利益額 |
1カ月目 | 6,000円 | 12,000円 |
2カ月目 | 12,000円 | 24,000円 |
3カ月目 | 18,000円 | 36,000円 |
4カ月目 | 24,000円 | 40,000円 *すべての在庫を販売完了 |
5カ月目 | 30,000円 | |
6カ月目 | 36,000円 | |
7カ月目 | 42,000円 | |
8カ月目 | 48,000円 | |
9カ月目 | 54,000円 | |
10カ月目 | 60,000円 *すべての在庫を販売完了 |
同じ個数を販売した場合、トータル利益額だけで見れば、
A商品は60,000円、B商品は40,000円と、
A商品の方が20,000円多いです。
しかし、A商品は在庫を捌き切るまでに
10カ月もかかります。
一方、B商品は4カ月目で
すべて売り切ることができます。
B商品は回収したお金で再度仕入れ・販売すれば、
8カ月目にはトータル利益額が80,000円を超え、
結果的にA商品よりも効率的に手元資金を
増やしていくことができます。
このようなケースは多々あるので、
商品リサーチの際は利益率・回転数の
両方を見なければいけません。
資金繰りが悪化する原因③過剰在庫を抱えてしまっている
資金繰りが悪化する3つ目の原因は、
仕入れすぎて過剰在庫を抱えてしまうことです。
潤沢な資金があれば過剰在庫でも
一時的にはなんとかなるでしょう。
しかしギリギリの状態で、たとえば
クレカで大量仕入れをして売れなかった場合・・・
支払い日に間に合わず詰んでしまいます。
対策:適切な量の仕入れをする
できる対策は、月間販売数をできるだけ正確に予測し、
適切な量を仕入れることです。
在庫が多すぎると過剰在庫で
資金繰りが悪化してしまいます。
反対に少なすぎると在庫切れになり、
販売機会を逃してしまいます。
なお、適正在庫は、
- 商品の種類(季節性商品なのか、通年売れる商品なのか、トレンド商品なのか)
- 販売時期
- 各セラーの戦略
などによって変わるので、
これが正解!というものはありません。
ただ、一般的な適正在庫は
1.5カ月〜3カ月くらいです。
3カ月分を超える場合は持ち過ぎの
可能性があるので注意しましょう。
しかし、例外もあります。
それは中国の長期休暇をまたぐ場合です。
中国では
- 春節(毎年1月〜2月だが、具体的な日付は毎年変わる)
- 国慶節(毎年10月1日〜7日)
という2大長期休暇があります。
この期間中は、仕入れ先はもちろん
物流もストップしてしまいます。
結果、春節は1〜2カ月ほど、
国慶節は1〜2週間ほど
仕入れができなくなります。
春節・国慶節前後に仕入れる場合は、
仕入れができなくなる期間も考慮して、
発注をかける必要があります。
資金繰りが悪化する原因④固定費をかけすぎている
資金繰りが悪化する4つ目の原因は、
固定費をかけすぎていることです。
固定費は毎月必ず出ていく費用のことで、
たとえば事務所の家賃やネット回線代などです。
固定費をかけすぎている場合、
売上が右肩上がりに伸びていかなければ
資金繰りもなかなか良くなりません。
対策:初めは固定費をなるべく少なくする
中国輸入物販を始めたばかりの頃は、
なるべく固定費を抑えるべきです。
たとえば、事務所は借りずに自宅で作業する、
利益がしっかり出るまでは人を雇わないなど。
毎月出ていくお金は、
なるべく減らすようにしましょう。
ただし、リサーチに必要なツールの月額料金や
AmazonFBAの月額料金などを
削ってしまうのはNGです。
こうした”売上に直結する固定費”は
必須経費として割り切って、
支払わなければいけません。
資金繰りが悪化する原因⑤そもそも資金管理ができていない
性格的に資金管理が苦手な人もいるでしょう。
手元にあればあるだけ
お金を使ってしまうような人です。
しかし中国輸入物販をするなら、
資金管理を徹底しておかないと、
資金繰りが悪化していっている最中も
気付けない恐れがあります。
対策:エクセルなどで支出・収入などを細かく管理する
そういった人は、エクセルやスプレッドシートに
日々の売上や支出、在庫数などを
入力して管理しましょう。
毎日数字を入力して視覚化しておくことで、
資金管理ができることはもちろん
コスト意識も身に付き、結果として
資金繰りがうまくいく可能性があります。
対策:プライベートと事業用の口座を分ける
資金管理をしっかりするという意味では、
プライベート用と事業用の口座は
なるべく分けるべきです。
生活費と事業資金がごっちゃになっていると、
使える資金があといくらあるのか、
すぐに分からないので危険です。
対策:入金日、支払日を事前にチェック
当たり前のことですが、売上の入金日と、
仕入れでクレジットカードを使う場合は
支払日も事前に確認しておきましょう。
たとえば、Amazonの売上入金日は2週間サイクルです。
売れた分がすぐに入金されるわけではありません。
クレジットカードの支払日は、
カード会社によって異なります。
万が一、支払い遅延を起こすとカードが利用停止となり、
何度も遅延を起こすとブラックリストに載ってしまいます。
ブラックリスト入りすると
他社のクレカに申し込んでも審査がおりず、
クレカ仕入れができなくなる恐れもあります。
そうなると事業継続自体が難しくなるので、
必ず売上の入金日とクレカの支払日は
確認しておきましょう。
対策:万が一に備えて、キャッシュをある程度残しておく
中国輸入物販ビジネスでは、
思いもよらないトラブルが
起きることも珍しくありません。
絶対売れると思って仕入れた商品が、
全く売れなかった・・・
仕入れた商品が不良品だらけだったが、
業者が返金に応じてくれなかった・・・
配送中に商品が破損、
スケジュール通りに売れず
支払日に間に合わなくなってしまった・・・
このようなトラブルが起こった時も対処できるよう、
手元にキャッシュはある程度残しておくことを
おすすめします。
中国輸入物販で悪化してしまった資金繰りを改善する方法
まずは、資金繰りが悪化している原因を考える
中国輸入物販で資金繰りが悪化している場合、
まずはその原因を見つけてください。
- リサーチ時点で利益計算をミスしているのか?
- 売っている商品が悪いのか?
- 仕入れすぎてしまっているのか?
原因は人によって違うはずなので、
それを見つけた上で
改善策を実施する必要があります。
回転率が悪い商品があるなら、取り扱いをやめる
回転率が悪い商品を扱っているなら、
取り扱いをやめるという選択肢があります。
または、その商品の仕入れ量は減らし、
別の回転率がいい商品と併売してもいいでしょう。
在庫過剰になっていたら、次回からの仕入れ量を調整する
在庫過剰になっていたら、
次回からの仕入れ量を減らすなど
調整しましょう。
ただし、在庫過剰になっている原因を
調べることも重要です。
その商品の需要自体が減ってきているのか、または
季節性要因で一時的に売れていないだけなのかなど。
仕入れ量を減らした結果、在庫切れとなり
販売機会の損失になってしまっては意味がないので、
その商品・販売時期等に合った適量を仕入れましょう。
長期間残っている在庫は、一時的な値下げ等でキャッシュ確保を優先する
長期間倉庫に眠っている在庫は、
一時的な値下げやクーポン発行などで
実質的値下げをして売り切る方法もあります。
その分利益は少なくなってしまいますが、
在庫保管手数料などを抑えられます。
また、確保したキャッシュで新たな商品を仕入れ
販売することで、資金繰りを改善できる場合があります。
固定費が大きすぎるなら削る
売上に対して大きすぎる固定費は
なるべく削るべきです。
たとえばアルバイトさんを雇う代わりに、
必要な時だけ外注化する方法にすれば、
給料という固定費を削ることができます。
資金調達を行う
資金繰りが悪化しているなら、根本的な原因を見つけて、
それを潰すような改善策をとらなければいけません。
ただし、一時的に資金を増やす必要がある場合は、
資金調達を行うという方法もあります。
親族に出資してもらう
家族や親戚、知人等から出資してもらいます。
直接的にお金を借りることができなくても、
たとえば実家の一部屋を倉庫として
使わせてもらうなどの間接的な出資でも
倉庫代、在庫管理手数料を減らせます。
行政機関・金融機関から融資を受ける
中国輸入物販は立派な”ビジネス”なので、
事業計画書等を作成すれば、
行政機関・金融機関等から
融資を受けられる場合があります。
中でも、日本政策金融公庫の
「新創業融資制度」はおすすめです。
「新創業融資制度」は、新たに事業を始める人や、
事業を開始して間もない人を対象に融資を行う制度です。
他の金融機関の融資制度と比べて審査が通りやすく、
担保・保証人共に不要で、最大3,000万円までの
融資を受けられます。
まとめ
中国輸入物販をする上で資金繰りの悪化を防ぐには、
事前に悪化してしまう原因を知っておき、
それに対して日々対策を取ることが重要です。
中国輸入物販で資金繰りが悪化してしまう原因と対策
リサーチ時点で利益計算がしっかりできてない
→適切な利益計算をする
利益率だけを見て、回転の悪い商品を仕入れている
→商品リサーチの際は、利益率・回転率の両方をチェックする
過剰在庫を抱えてしまっている
→適切な量の仕入れをする
固定費をかけすぎている
→初めは固定費をなるべく少なくする
そもそも資金管理ができていない
→エクセルなどで支出・収入などを細かく管理する
→プライベートと事業用の口座を分ける
→入金日、支払日を事前にチェック
→万が一に備えて、キャッシュをある程度残しておく
ただし、どれだけ注意していても、
資金繰りが悪化してしまう場合もあります。
そんな時は、まず悪化している原因を探し、
その原因を潰していけるよう
改善策を実施しましょう。
改善策例
回転率が悪い商品があるなら、取り扱いをやめる
在庫過剰になっていたら、次回からの仕入れ量を調整する
長期間残っている在庫は、一時的な値下げ等でキャッシュ確保を優先する
固定費が大きすぎるなら削る
資金調達を行う