ネット物販歴25年超え
中国輸入Amazon物販の専門家 加藤さとしです。
「これからAmazonでオリジナル商品を
販売していきたい!」
そんなときに気になるのが、
Amazonブランド登録はした方がいいのか?
という疑問です。
Amazonブランド登録とは、その名の通り
自分オリジナルのブランドを
Amazonに登録することです。
結論から言うと、
Amazonの売上を本気で伸ばしていきたい人は
いずれブランド登録は視野に入れておいてください。
なぜなら、登録するメリットが
デメリットを遥かに上回るから。
ブランド登録は手続きが必要だったり
費用が発生したりしますが、長期的な
売上拡大に影響するサービスです。
今回の記事ではAmazonブランド登録の
概要やメリット・デメリット、さらに
具体的な申請方法や注意点についても
解説していきます。
加藤さとし
Amazonブランド登録とは?
Amazonブランド登録は、
プライベートブランドを
Amazonに登録するための手続きです。
手続きしておくことで、そのブランドは
Amazonから保護され、たとえば知的財産権の
侵害などがあった場合に通報することで
すぐにAmazonが動いてくれるようになります。
ほかにもブランド登録をしておくことで、
Amazonの売上アップにつながる
限定機能を利用することもできます。
登録時に費用はかかる?無料?
Amazonブランド登録の費用は無料で
申請自体もそこまで難しくありませんが、
事前に「商標権の取得」が必要で、
この手続きに時間と費用がかかります。
商標権の取得は通常だと
半年~長いと1年以上かかることもあります。
ただし「早期審査制度」という制度を使うことで
この時間を3カ月程度に短縮することが可能です。
早期審査制度の詳細は、
後ほど解説します。
商標出願にかかる費用については、
まず弁理士に「先行商標調査」を
してもらう必要があり、これが
1商標で平均約20,000円です。
そして、商標登録時は特許印紙代として
3万円程度がかかります。
あわせて約5万円です。
また、商標登録の出願まで弁理士に依頼すると、
1商標あたり10万円前後がかかります。
なお若干面倒ですが、特許庁へ行ったり
電話相談をしながら進めることで自分で出願もでき、
この場合は弁理士への依頼代10万円程度を
浮かせることが可能です。
Amazonブランド登録をしない、という選択肢は?
Amazonでオリジナル商品を販売するにあたり、
Amazonブランド登録は必須ではありません。
ですが記事の冒頭でお伝えしたように、
Amazonでオリジナル商品を販売するなら
ブランド登録は必須です。
次の章で、ブランド登録の
メリット・デメリットを
みていきましょう。
Amazonブランド登録のメリット、デメリット
メリット1:相乗りを排除できる
中国輸入Amazon販売では、中国製品に
ロゴを印字するなど簡易的な加工をして
売り出す方法があります。
この場合、もしブランド登録をしていなかったら、
他のセラーが同じロゴを入れた商品を相乗りで販売しても
そのロゴの所有権が明確ではないため排除することは難しいです。
一方、Amazonブランド登録をした上で
商品や同梱物にブランドネーム・ロゴを入れておけば、
その商品はあなた以外に売ることができません。
万が一、他のセラーが相乗り販売してきた場合は、
「商標権の侵害」としてAmazonに通報することで
そのセラーをすぐに排除できます。
ブランド登録をしていない場合でも
Amazonにポイントを押さえた連絡をすることで
相乗り排除は可能ですが、絶対ではありません。
つまり、Amazonブランド登録をしておけば
相乗りされる心配がなくなるのです。
メリット2:他のセラーが商品カタログを書き換えられなくなる
商品カタログとは、商品ページ内の
情報(データ)のことです。
Amazonで相乗りが可能な商品については、
最初に販売を開始した以外のセラーでも
商品カタログを編集することができます。
これを逆手にとり、商品とは全く関係のない
商品画像と入れ替えられたり
説明文を書き換えられたりする
嫌がらせを受ける場合があります。
しかし、Amazonブランド登録をしておけば
商品カタログの編集権限はそのブランド所有者のみ
となるので、他のセラーが勝手に
カタログを書き換えることはできません。
メリット3:スポンサーブランド広告、スポンサーディスプレイ広告を出せる
Amazonの売上アップ、維持に
欠かせないのがAmazon広告です。
Amazon広告は大きく分けて
- スポンサープロダクト広告
- スポンサーブランド広告
- スポンサーディスプレイ広告
の3つがあります。
上記3つのうち、スポンサーブランド広告と
スポンサーディスプレイ広告は、
Amazonブランド登録をしているセラーのみが利用できます。
スポンサーブランド広告は、ブランドロゴと
商品ポートフォリオを同時に表示できる広告です。
ターゲットが興味のある商品を表示できるだけでなく、
ブランド認知向上にもつながります。
スポンサーディスプレイ広告は、
Amazonでの購買行動に基づいて
最適なターゲットに表示される広告です。
スポンサープロダクト広告/ブランド広告と
大きく異なるのは、Amazon内だけでなく
外部サイトなどにも広告が表示される点です。
スポンサーディスプレイ広告は
- Amazonトップページ
- Amazon商品詳細ページ
- Amazon商品検索結果ページ
- Twitch
- サードパーティのウェブサイトやアプリ
といったさまざまな場所に表示されるので、
より多くのターゲットにリーチすることが可能です。
メリット4:Amazonストアを出店できる
出典:Amazon.co.jp
Amazonは楽天市場やYahoo!ショッピングなどと
比べて商品ページの差別化がしづらく、
店舗やブランド色を出しづらいのが弱点です。
しかし、Amazonブランド登録をすることで、
Amazon内に自分のストアページを
作れるようになります。
ストアページを作ることができれば
ブランドイメージを伝えられるほか、
ファンがついた場合にそのストアページから
関連商品を買ってくれる可能性もあります。
メリット5:Amazonブランド分析が使える
Amazonブランド分析は、検索キーワードや
購入者の行動データレポートなどを
確認できるツールです。
具体的には以下の5つの
レポートを確認することが可能です。
Amazon検索用語レポート:Amazon検索用語レポートには、特定の期間においてAmazonストアで最も人気のある検索キーワードと各キーワードの検索頻度ランキング、およびキーワードの検索後に購入者が全体としてクリックした上位3点の商品が表示されます。各検索キーワードの上位3点の商品については、商品ごとのクリック数割合とコンバージョン割合も表示されます。
商品比較レポート:商品比較レポートでは、権利所有者の商品と同日に、Amazon購入者が閲覧した頻度が上位の商品を表示します。 これにより、権利所有者は類似商品を確認でき、より適切な情報に基づいて商品ポートフォリオや広告に関連した決定を行うことができます。
代替購入レポート:代替購入レポートでは、Amazonの購入者が全体として、ブランド所有者の商品を閲覧したものの、購入しなかった日と同日に、頻繁に購入された商品がブランド所有者に表示されます。これにより、ブランド所有者は、自身の商品の代わりに、最もよく購入されている商品をすばやく確認し、商品の差別化やポートフォリオの組み合わせに関する販売機会を分析できます。
マーケットバスケットレポート:マーケットバスケットレポートでは、ブランド所有者の商品を購入した際、同時にAmazonの購入者が最も頻繁に購入した商品が表示されます。これにより、ブランド所有者は、自身の商品と同時によく購入されている商品を素早く確認し、セット品やクロスマーケティングの機会を確認することができます。
リピート購入レポート:リピート購入レポートには、商品またはブランドごとの注文数、および購入者のユニーク数が表示されます。注文数には複数の商品数が含まれており、注文が入った商品数とは異なる場合があります。ブランド所有者は、注文数と購入者のユニーク数を比較することで、特定の期間内に1人の購入者が2回以上注文した商品またはブランドを特定できます。
また、レポートには特定の期間内に繰り返し購入した購入者の割合(合計に対する割合)も表示されます。最後に、レポートには選択した期間内に繰り返し購入された注文商品の売上額が表示されます(返品は反映されません)。
上記レポートのデータは
Amazonブランド登録をしている
セラーしか見ることができません。
データをもとに改善していけば、
売上をさらにアップさせることができます。
メリット6:JANコードなしでも出品可能に
Amazonに出品する際は、
原則としてJANコードが必要です。
ただし、ノーブランド製品や
オリジナル商品にはJANコードがありません。
こういった場合は「製品コード免除の申請」を
することでJANコードが不要になります。
一方、Amazonブランド登録をしておけば
製品コード免除の申請をする必要もありませんし、
JANコードの取得も不要です。
デメリット1:事前に商標登録が必要
Amazonブランド登録の唯一のデメリット、
それは最初にお伝えしたとおり
事前に「商標登録が必要なこと」です。
商標登録をするには、
商標権の出願手続きが必要です。
商標権の出願手続き時にかかる費用
出願手続きをする際は
以下の費用がかかります。
①先行商標調査の依頼費用
先行商標調査は、出願するブランドネームやロゴが
すでに出願されているものと似ていないかを
確認する調査です。
出願した商標が既存の商標と酷似していると
審査に通らないため、これを避けるために
先行商標調査を行います。
この調査はJ-Plat Patを使えば
自分で出来ないこともないですが、
見落とし等を防ぐためにも弁理士へ
依頼するのが確実です。
依頼費用の相場は2〜3万円です。
②印紙代
商標出願をする際はまず、
特許庁へ払う印紙代がかかります。
印紙代は、1区分のみの申請ですと
- 出願手数料12,000円
- 登録料(登録年数5年)16,400円
合わせて28,400円です。
③出願手続きの依頼費用
さらに、出願手続きを弁理士へ依頼する場合は
別途手数料がかかります。
料金は弁理士事務所によっても異なりますが、
平均料金は11万円程度です(参照:特許出願ラボ)。
商標登録でかかる合計費用
事前調査から出願手続きまでを
すべて弁理士へ依頼した場合は、
- 先行調査の依頼費用:2〜3万円
- 印紙代:約3万円
- 出願手続きの依頼費用:11万円
合計15万円強かかる計算です。
なるべく費用をかけたくない・・・
という人は、自分で出願手続きをすることで
出願手続きの依頼費用11万円を浮かすことは可能です。
ただ、記入ミス等があると
審査に落ちてしまいます。
誤りなく書類を作成するためには、
特許庁へ行って相談する、または
特許庁の窓口に電話相談するなどしましょう。
- 特許庁の所在地:〒100-8915 東京都千代田区霞が関三丁目4番3号
- 特許庁の問い合わせ番号:03-3581-1101
通常の商標登録の審査期間は非常に長い
商標登録をするには事前に特許庁へ申請して
審査に受かる必要がありますが、
この審査期間が非常に長いことが問題です。
審査期間は以前よりもかなり伸びており、
現在は1年以上かかることも珍しくありません。
これは毎年10〜15万件前後の
商標が出願されており、それらを
一つ一つチェックしているためです。
審査期間が1年以上であれば
Amazonブランド登録完了は
それ以上に時間がかかってしまいます。
ただし、これは通常申請をした場合です。
実は「早期審査制度」という制度を使えば
審査期間は大幅に短くなります。
商標登録の早期審査制度を使って時間短縮
「商標登録の早期審査制度」は、
一定の条件を満たすことで
優先的に審査をしてもらえる制度です。
通常通りに商標登録の出願をすると
1年以上かかるところ、この制度を使えば
2〜3カ月で完了します。
さらに利用料は無料なので、
使わない手はありません。
ただし、早期審査は誰でも利用できるわけではなく、
以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
①出願人(又はライセンシー)が、出願商標を指定商品・指定役務の一部に既に使用していて(又は使用の準備を相当程度進めていて)、かつ、権利化について緊急性を要する案件
②出願人(又はライセンシー)が、出願商標を既に使用している商品・役務(又は使用の準備を相当程度進めている商品・役務) “のみ” を指定している案件
③出願人(又はライセンシー)が、出願商標を指定商品・指定役務の一部に既に使用していて(又は使用の準備を相当程度進めていて)、かつ、「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている商品・役務 “のみ” を指定している案件
上記①〜③の中で
私たちが狙うのは②です。
②は商標出願する文字やブランドロゴが
記載された商品をすでに販売している場合のみ
申請できる、という条件です。
Amazonでその商品を既に販売していれば
②の条件を満たすことになります。
以上の理由から、これからAmazonで
オリジナル商品を販売したい人は
以下の流れで手続きを進めましょう。
①ブランドネームやロゴが入ったオリジナル商品を開発する
→②Amazonでその商品を販売開始する
→③商標登録の申請を行う(早期審査制度を使用)
→④商標登録の審査が完了したら、Amazonブランド登録を行う
なお、すでに商標出願申請をしており、
審査待ちの人も早期審査制度は利用可能です。
Amazonブランド登録の申請方法を解説!
Amazonブランド登録の
申請方法を解説していきます。
Amazonブランド登録の事前準備
Amazonブランド登録に必要なものを事前に準備しておきます。
登録商標の確認
Amazonブランド登録には、登録を希望する国で
有効な商標を登録済みか、Amazon IP Acceleratorから
提出した商標登録申請が出願中になっている必要があります。
ブランドの登録商標は、文字商標(テキスト商標)か、
語句、文字、または数字を含む図形商標(画像商標)
でなければなりません。
登録するブランド名が記載された商品画像
Amazonブランド登録にあたり、商品画像を提出する必要があります。
画像は必ず下記の条件を満たすものが必要です。
【商品画像の条件】
・ブランド名・ロゴが商品やパッケージに印字されている
・ブランド名、ロゴ、その他の識別マークがはっきりと表示されている
Amazon brand registryへアクセス
「Amazon brand registry」のページへ行き、
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ブランド登録先の国の中から
「日本」をクリックします。
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ブランド情報の入力
ここからブランド情報を
入力していきます。
①申請するブランド名
②登録商標機関の選択→日本
③登録番号またはシリアル番号→商標番号(商標登録証に記載されている番号)
④ブランド公式ウェブサイトのURL→入力不要
⑤サイトのストアフロントのURL→入力不要
ブランド名・ロゴ記載のある商品
またはパッケージ画像をアップロードしたら
「次へ」をクリックしてください。
出品用アカウント情報の入力
出品用アカウント情報として、
以下の項目を入力します。
- 登録するブランドの出品者またはベンダー→「出品者」にチェックマークを入れる
- ブランドに最も適したカテゴリー→そのブランドで販売する商品の該当カテゴリーを入力
- 最も売れているASIN→そのブランドで販売している商品のASINを入力(Amazon.co.jpになっていることを確認)
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流通とライセンス情報の入力
最後に「流通とライセンス情報」として、
以下の項目を入力します。
- 流通情報→「いいえ」を選択(ブランド商品を他の小売業者に販売している場合は「はい」)
- 商品の販売場所→「日本」を選択
- ライセンス情報→「いいえ」を選択(商標を他の事業者にライセンス供与している場合は「はい」)
すべての入力が完了したら
「送信」をクリックすれば完了です。
審査期間はだいたい1週間前後で、
不備がなければ承認されます。
もし非承認となった場合は、
商標番号の記入ミスなど
何かしらの不備があるはずです。
非承認を知らせるメールには
不備がある箇所が書かれていることもあるので、
もう一度確認して再申請を行ってください。
まとめ
Amazonでオリジナル商品で
売上が軌道に乗った後は
Amazonブランド登録を考えていきましょう。
ブランド登録をしておくことで
相乗りや悪意ある商品ページの改ざんを
防ぐことができるほか、売上アップにつながる機能を
利用できるようになります。
なお、ブランド登録をするには
事前に商標権を取得しておく必要があり、
- 自分で出願手続きをする→5万円程度
- 弁理士にすべて手続きを依頼する→15万円程度
上記費用がかかります。
商標審査は通常であれば1年以上かかりますが、
「早期審査制度」を使うことで
3カ月程度に短縮することが可能です。
早期審査制度を利用するには
出願予定の商標を使った製品を
販売している必要があるので、
先にAmazonでオリジナル商品を販売開始し、
それから商標の出願手続きを行ってください。